TECHII(テッチー)とは86年6月〜88年12月までの約2年半、音楽の友社より発行されていたテクノ系雑誌である。当時YMOブームも一段落し、インターネットも無かった状況下で日本のみならず世界のニューウェーブの流れを知る上でも非常に貴重な情報源となっていた雑誌である。とはいえメインは、邦楽80年代テクノ、YMO関連、YMOデリバティブスとでも呼べるアーティスト達の情報提供にかなりフォーカスされていたように思う。当初隔月刊として発行されながら、創刊3号(86年10月号)にして月刊化ということからも、一雑誌としては順調な滑り出しだったこと、またテクノサブカルチャーとそれに関心を持つ人々がそれなりの規模で存在していたことも同時に伺える。注目企画としては、当時の坂本龍一のラジオDJ番組、NHKサウンドストリートの好評企画だったデモテープ特集を意識したと思われる69コンピレーションズ(読者からのデモテープを毎回選出されたプロミュージシャン審査員がセレクト、選ばれた楽曲は本誌付録ソノシートになる)企画などは、テッチーなクリエイターの創作意欲をも大いにくすぐるものがあったし、ピチカートVの小西康陽氏のコラム「THE BEST OF THE GREATEST HITS」は後のSuburbia(サバービア)の原点とも言える内容で、これは後になって小西氏の著作「これは恋ではない―小西康陽... 」に収録された。また編集にはMusic-Books !で紹介した「電子音楽inJAPAN」の著者、田中雄二氏も当時編集委員として参画されていたとの情報もある。残念ながら本誌は、いわゆる渋谷系という言葉が出てくる直前の88年12月には廃刊になったが、YMOから前述のSuburbia(サバービア)・渋谷系といった系統への橋渡し的なサブカル音楽雑誌としてその役割を果 たしたことは間違いない。全29冊ということを考えれば、願わくば合本してハードカバーやDVDにするなど、なんらかの形でのコレクターズアイテム・資料としての復刻もありじゃないだろうかと思う。
